洋上救急事業

海上の傷病者を救う世界唯⼀のシステム“海の救急医療”。
昭和60年の設⽴以来、出動は967件、救助⼈員は1,000名を数えます。
(令和5年3⽉31⽇現在)

最近の洋上救急の状況

令和3年4⽉27⽇ 13:15発⽣

【発⽣位置】

 ⻑崎県五島市福江島⻄⽅海上

【船種等】

 貨物船(総トン数64,642トン 乗員21名)

【傷病者】

 男性 58歳 甲板⻑(中国国籍)

【傷病名】

 脳⾎管障害

【出動医療機関、医師等】

 独⽴⾏政法⼈国⽴病院機構 ⻑崎医療センター(医師1名)

【出動勢⼒】

 第七管区海上保安本部北九州航空基地 ヘリコプターMH966

 機動救難⼠2名

【洋上救急活動状況】

 令和3年4⽉27⽇午後1時15分頃、福岡県⼾畑向け中のパナマ籍貨物船(64,642トン)船⻑から、「甲板⻑が頭の痛みを訴え、30分ほど
前に倒れ、意識がない」旨第七管区海上保安本部運⽤司令センターに洋上救急の要請があった。

 これを受け、第七管区海上保安本部北九州航空基地所属のヘリコプターMH966に機動救難⼠2名が同乗し、同⽇午後2時5分、北九州航
空基地を出発、午後2時50分、⻑崎空港に到着。

⻑崎空港にて独⽴⾏政法⼈国⽴病院機構 ⻑崎医療センター医師1名が同乗し、同空港を出発、午後4時30分、当該貨物船と会合し、
4時56分、傷病者を吊り上げ、機内に収容。医師による診断の結果、脳梗塞の疑いとのことで、傷病⼈は、⻑崎医療センターへ搬送することとなり、ヘリコプターMH966にて⻑崎空港まで搬送。同⽇午後5時40分、⻑崎空港において消防救急隊へ引き継いだ。

ヘリコプター内で応急治療をする医師

令和3年4⽉20⽇ 11:50発⽣

【発⽣位置】

 ⽯垣島北⻄約78海⾥付近海域

【船種等】

 貨物船(総トン数49,035トン 乗員22名)

【傷病者】

 男性 22歳 甲板員(フィリピン国籍)

【傷病名】

 右上肢開放創(痙攣、歩⾏不可)

【出動医療機関、医師等】

 沖縄県⽴⼋重⼭病院(医師1名)

【出動勢⼒】

 第⼗⼀管区海上保安本部⽯垣航空基地 ヘリコプターMH971

 機動救難⼠2名

【洋上救急活動状況】

 令和3年4⽉20⽇午前11時50分頃、貨物船の船舶管理会社から「⽯垣島北⻄沖を航⾏中、船内でベルトコンベアーに右腕を挟まれ裂傷、
痙攣をおこしているので救助を求める。」とのことで第⼗⼀管区海上保安本部運⽤司令センターに救助要請があった。

 これを受け、同⽇午後1時25分、第⼗⼀管区海上保安本部⽯垣航空基地所属ヘリコプターMH971に機動救難⼠2名及び沖縄県⽴⼋重

⼭病院医師1名が同乗し、現場向け新⽯垣空港を出発。午後1時50分、当該貨物船と会合、午後2時21分頃、患者を貨物船から吊り上げ

ヘリコプター機内に収容し、応急⼿当を施しつつ、午後3時頃、新⽯垣空港に到着、傷病者を救急⾞へ引き継ぎ、沖縄県⽴⼋重⼭病院に搬送した。

ヘリコプターMH971から傷病者を救急⾞に搬送

令和3年3⽉26⽇ 12:00発⽣

【発⽣位置】

 沖縄県本島南南⻄60海⾥付近海上

【船種等】

 貨物船(総トン数43,036トン 乗員20名)

【傷病者】

 男性 58歳 航海⼠(フィリピン国籍)

【傷病名】

 多発性肺がん 多発脳転移 末期

【出動医療機関、医師等】

 社会医療法⼈仁愛会 浦添総合病院(医師1名)

【出動勢⼒】

 海上保安庁那覇航空基地 ヘリコプターMH974 機動救難⼠2名

【洋上救急活動状況】

 令和3年3⽉26⽇午後零時頃、パナマ船籍貨物船M号から第⼗管区海上保安本部へ「乗組員が体調不良のためヘリでの搬送を依頼したい」
旨搬送要請があった。

 この要請を受け、午後3時45分頃、浦添総合病院医師1名、第⼗⼀管区海上保安本部那覇航空基地の機動救難⼠2名が同乗したMH974
が那覇航空基地を出発した。

 同⽇午後4時15頃、当該船舶と会合し、午後4時39分頃患者を機内へ収容し現場発、午後5時18分頃、那覇航空基地に着陸し、傷病者を
救急⾞へ引き継ぎ、浦添総合病院へ搬送した。

令和3年3⽉15⽇ 13:20発⽣

【発⽣位置】

 ⽯垣島南南東約156海⾥付近海域 

【船種等】

 貨物船(総トン数4,825トン 乗員14名)

【傷病者】

 男性 23歳 三等機関⼠(韓国国籍)

【傷病名】

 胸の痛み

【出動医療機関、医師等】

 沖縄県⽴⼋重⼭病院(医師1名)

【出動勢⼒】

 第⼗⼀管区海上保安本部 那覇航空基地 ⾶⾏機MAJ572

 ⽯垣航空基地 ヘリコプターMH971

 機動救難⼠2名

【洋上救急活動状況】

 令和3年3⽉15⽇午後1時20分頃、韓国MRCCから「パナマ船籍貨物船乗組員が⼼肺停⽌状態のためヘリでの搬送を依頼したい」旨第⼗ 
⼀管区海上保安本部運⽤司令センターへ洋上救急の要請があった。

 これを受け、午後5時13分、第⼗⼀管区海上保安本部⽯垣航空基地所属ヘリコプターMH971に機動救難⼠2名及び沖縄県⽴⼋重⼭美容
院の医師1名が同乗し、⽯垣航空基地を出発。

 午後6時13分、ヘリコプターMH971は当該船舶と会合。午後6時30分頃、傷病者を機内へ収容し、現場発、午後7時37分、⽯垣空港で患者を救急⾞へ引き継ぎ、⼋重⼭病院へ搬送した。

貨物船から傷病者をヘリコプターに吊り上げ

ヘリコプター内で応急治療をする医師

令和3年3⽉9⽇ 17:54発⽣

【発⽣位置】

 南⼤東島東南東約170海⾥付近海域

【船種等】

 漁船(総トン数19トン 乗員3名)

【傷病者】

 男性 64歳 船⻑(⽇本国籍)

【傷病名】

 左顔⾯⿇痺、歩⾏不可、脳梗塞の疑い 

【出動医療機関、医師等】

 南部徳洲会病院(医師1名)

【出動勢⼒】

 第⼗⼀管区海上保安本部 那覇航空基地 機動救難⼠2名

 海上⾃衛隊岩国基地 救難⾶⾏艇US-2

【洋上救急活動状況】

 令和3年3⽉9⽇午後5時54分頃、漁船から「船内にて船⻑の体調が悪い、意識あるが、左半⾝がしびれている。⾄急救急搬送願う」旨第五管区海上保安本部運⽤指令センターに対して洋上救急の要請があった。

 これを受けて、第五管区海上保安本部から海上⾃衛隊岩国基地に災害派遣要請を⾏い、3⽉10⽇午前5時13分頃、南部徳州会病院医
師1名及び第⼗⼀管区海上保安本部那覇航空基地の機動救難⼠2名が同乗した岩国基地所属救難⾶⾏艇US-2が、那覇空港を出発した。

 同⽇午前7時5分頃救難⾶⾏艇US-2が当該船舶と会合し、午前7時29分、患者を機内へ収容、現場発、午前9時30分、那覇空港に着
陸し、傷病者を救急⾞へ引き継ぎ、南部徳洲会病院に搬送した。

救難⾶⾏艇US-2から傷病者を救急⾞へ移送 (写真提供:海上⾃衛隊)

令和3年2⽉2⽇ 20:06発⽣

【発⽣位置】

 野島埼の南東約640海⾥

【船種等】

 ⾃動⾞運搬船(総トン数49,708トン 乗員23名)

【傷病者】

 男性 50歳 空調⼯(ウクライナ国籍)

【傷病名】

 左半⾝⿇痺、脳卒中の疑い

【出動医療機関、医師等】

 東海⼤学医学部付属病院(医師2名、看護師1名)

 医療法⼈鉄蕉会 ⻲⽥総合病院(医師1名、看護師1名)

【出動勢⼒】

 海上保安庁⽻⽥航空基地 固定翼MA725 回転翼MH692 特殊救難隊4名

 海上⾃衛隊第21航空群 ヘリコプターUH-60J

【洋上救急活動状況】

 令和3年2⽉2⽇午後20時06分頃、バハマ船籍⾃動⾞運搬船から、「乗組員が左半⾝⿇痺、脳卒中の疑いがあり、⾼輪病院に医療指⽰を受
けたところ、早急に病院への搬送が必要であるとの指⽰を受けたことから、⾄急搬送を願う」旨救助要請があった。

この要請を受け、2⽉3⽇午後10時27分頃、東海⼤学医学部付属病院医師1名及び看護師1名、第三管区海上保安本部特殊救難隊員2
名が同乗したMH692が⽻⽥航空基地を出発した。

同⽇午後11時57分頃、MH692⼋丈島空港着、燃料搭載後に機体のバッテリーに不具合が発⽣したため、吊り上げ救助を中⽌した。

 2⽉4⽇午前7時20分頃、海上⾃衛隊第21航空群に対し災害派遣を要請し7時30分に受諾され、午前7時42分頃、UH-60Jが海上⾃衛隊
館⼭航空基地を出発し千葉県鴨川市の⻲⽥総合病院へ向かう。

 午前7時56分頃、⻲⽥総合病院着、医師1名及び看護師1名が同乗し、午前8時00分⻲⽥総合病院出発し該船へ向かう。

  午前8時35分頃、該船と会合し、午前9時03分頃傷病者を機内へ収容し現場発、午前9時35分頃、⻲⽥総合病院着、傷病者を病院へ引き渡した。

令和3年1⽉16⽇ 18:15発⽣

【発⽣位置】

 ⼊道埼灯台から真⽅位293度約52海⾥付近海域

【船種等】

 漁船(総トン数736トン 乗員19名)

【傷病者】

 男性 43歳 三等機関⼠(ロシア国籍)

【傷病名】

 右側頭部挫裂創

【出動医療機関、医師等】

 秋⽥⾚⼗字病院(医師1名、看護師1名)

【出動勢⼒】

 航空⾃衛隊秋⽥分屯基地秋⽥救難隊 航空機U-125A ヘリコプターUH60-J

【洋上救急活動状況】

 令和3年1⽉16⽇午後6時15分頃、秋⽥県男⿅半島沖を航⾏中のロシア籍漁船所有者の代理⼈から携帯電話により、「漁船船内にて、乗
組員が階段から落ち頭を打った。出⾎しており船⻑判断で現在、能代に向かっている」旨第⼆管区海上保安本部運⽤司令センターに連絡があった。

その後、同⽇午後6時45分頃、同船から、「医療助⾔を受けた結果、階段から転落、頭部を打撲して出⾎が400mlがあることから、⾄急病院に搬送し、適切な治療を受けること」との回答を得たことから第⼆管区海上保安本部は、16⽇午後10時34分、航空⾃衛隊航空救難団指令に対し、災害派遣要請を⾏うとともに、同⽇、午後10時37分、秋⽥⾚⼗字病院に対し、医師等の派遣要請を実施したところ、午後11時10分承諾を得た。

 17⽇午前1時40分、航空⾃衛隊秋⽥分屯基地秋⽥救難隊ヘリコプターUH60-Jに秋⽥⾚⼗字病院医師等2名が同乗のうえ、航空⾃衛隊秋⽥分屯基地を出発、午前1時50分現場着。しかし、荒天のため同漁船から吊り上げ不可のため、当該海域を移動後、午前4時20分、同漁船

からUH60-Jに傷病者を吊り上げ収容後、医療⾏為を実施しながら、午前4時32分秋⽥分屯基地到着、救急⾞にて傷病者を秋⽥⾚⼗字病院へ搬送した。

ヘリコプターUH60-Jから傷病者を吊り上げ

ヘリコプターUH60-Jから傷病者を救急⾞へ移送(写真提供:航空⾃衛隊)

令和2年12⽉11⽇発⽣

【発⽣位置】

⼋丈島南約90海⾥

【船種等】

漁船(鮪延縄)(総トン数14トン 乗員5名)

【傷病者】

男性 40歳 甲板員(⽇本国籍)

【傷病名】

左半⾝⿇痺、脳梗塞の疑い

【出動医療機関、医師等】

⽇本医科⼤学付属病院(医師2名)

【出動勢⼒】

宮城海上保安部 巡視船くりこま

海上保安庁⽻⽥航空基地 航空機MA723 ヘリコプターMH690

【洋上救急活動状況】

 令和2年12⽉11⽇13時17分、⼋丈島南約90海⾥付近にて鮪延縄漁船乗組員が、左半⾝⿇痺等の症状を発症、東京⾼輪病院に医療指
⽰を受けたところ早急に病院への搬送が必要であるとのことから海上保安庁に対し救助要請があった。

  同⽇15時03分に特殊救難隊同乗のヘリコプター並びに16時58分に⽇本医科⼤学付属病院医師2名及び特殊救難隊同乗の航空機がそれぞれ⽻⽥航空基地出発。

 ヘリコプターが16時18分に⼋丈島着、燃料搭載後の17時59分に出発、18時45分に現場に到着し、傷病者の吊り上げを試みたが、該船の船型等から作業は困難と判断し、19時20分ヘリが、19時24分には航空機が現場を離脱した。

 なお、該船は12⽇6時50分⼋丈島⼋重根港に⾃⼒⼊港した。