洋上救急事業
海上の傷病者を救う世界唯一のシステム“海の救急医療”。
昭和60年の設立以来、出動は951件、救助人員は984名を数えます。
(令和4年1月28日現在)
洋上救急の概要(動画)
下記より洋上救急の概要(動画)を見ることができます。
洋上における医師の派遣は、人命救助と船員福祉という人道的観点にたって1985年10月より日本水難救済会の事業として開始されています。
洋上救急事業は、医師を洋上へ派遣して、救急医療を提供する世界で唯一のシステムです。
本動画は、洋上救急の概要をまとめた動画です。
なお、洋上救急の概要(英語版)もYouTubeで聴取することができます。
船舶で傷病者が発生すると…
我が国の周辺海域においては、遥か洋上の船舶内で傷病者等が発生し、緊急に医師の加療を必要とする場合、海上保安庁の巡視船・航空機等で医師・看護師等をその船舶まで急送して応急治療を行いつつ、最寄りの病院に救急搬送しています。

慣熟訓練
洋上救急では、医師や看護師は巡視船やヘリコプターに乗組み、遥か洋上まで出動し、厳しい自然条件や巡視船・ヘリコプターの動揺、騒音等の悪条件下における救命治療が必要とされます。
このため、全国各地域では多数の医師・看護師が訓練に参加し、ヘリコプタ−等に搭乗して訓練を行うなど、現場の状況を実際に体験して出動に備えています。
ヘリコプター搭乗訓練
洋上救急の現場に向かうヘリコプターに搭乗する際の注意事項等を訓練時に確認しておくことが重要です。
ヘリコプター機内での処置訓練
機内は狭く騒音や振動が伴うので訓練時に状況を体験しておくことが重要です。
(写真提供:海上保安庁)
出動事例
令和4年2月20日 19:35発生
【発生位置】
石垣島北方71海里付近海上
【船種等】
ケミカルタンカー(総トン数4,528トン 乗員18名)
【傷病者】
男性 51歳 調理師(フィリピン国籍)
【傷病名】
意識不明、痙攣発作
【出動医療機関、医師等】
沖縄県立八重山病院(医師1名)
【出動勢力】
海上保安庁 石垣航空基地 航空機MA862 ヘリコプターMH972
機動救難士2名
【洋上救急活動状況】
令和4年2月20日午後7時35分頃、同船から「同船船内でコックが急に倒れた。自発呼吸ができないので、船内にある酸素呼吸器で対応している」旨、第十一管区海上保安本部に対し救助要請があった。
これを受けて20日午後10時25分第十一管区海上保安本部石垣航空基地MH972に沖縄県立八重山病院医師1名及び機動救難士2名が同乗し、石垣空港を出発した。
午後10時50分MH972該船と会合。荒天等のため吊上げ救助できず、現場離脱。
午後11時40分石垣空港到着、医師1名降機。
21日午前6時5分傷病者死亡により、救助要請が取り消された。
令和4年1月28日発生
【発生位置】
八丈島の南東約180海里
【船種等】
まぐろ延縄漁船(総トン数19トン 乗員9名)
【傷病者】
男性 24歳 機関員(日本国籍)
【傷病名】
脳出血または脳梗塞の症状(頭痛・HT)
【出動医療機関、医師等】
日本医科大学付属病院(医師1名)
【出動勢力】
海上保安庁 羽田航空基地 航空機LAJ501 ヘリコプターMH691
特殊救難隊員2名
【洋上救急活動状況】
令和4年1月28日1324第十八光優丸船長〜本庁運用司令センター(118番通報)〜1333三運用司令センター「24歳男性乗員が27日から右手の痺れ、頭痛を訴え嘔吐を繰り返している」との通報。
三運用司令センターからの指示により該船船長が東京高輪病院に医療助言を求めたところ「脳出血又は脳梗塞の疑いがあることから至急医療機関への搬送が必要である」との指示を受けた。
これを受けて29日午前3時24分第三管区海上保安本部羽田航空基地MH691に日本医科大学付属病院医師1名及び特殊救難隊員2名が同乗し、羽田空港を出発した。
午前4時45分 MH691八丈島到達。燃料補給を実施し、該船の位置がMH691の行動範囲になるまで待機とした。
午前4時55分 LAJ501羽田を出発し該船へ向け飛行。0552該船と会合し、通信支援開始した。
0557 MH691八丈島を出発し、0635該船と会合、吊上救助を開始した。
0655傷病者を収容し現場離脱、0735 MH691八丈島に到着し傷病者をLAJ501に移乗させ、0804八丈島を出発。0850 LAJ501羽田空港に到着し傷病者を日医大ドクターカーに引継いだ。
(写真提供:海上保安庁) |
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